江ノ電に揺られて

冬の夕暮れは美しい、
そこはかとない哀愁を漂わせながら、やがて訪れる夜の手前のひとときを彩る。

冬の夕暮れ

てなことを考えながら夕焼けを眺めていると「ま、夏の夕暮れも綺麗だけれど」などと思う、
そんな冬の夕暮れに江ノ電に揺られて鎌倉へ向かい、小町通りから1本入ったお店の暖簾をくぐる。

ヒラメの昆布〆や銀杏をつまみながらぬる燗で日本酒をちびちびと飲んでいると、
久しぶりに鎌倉で飲んでるから色んなお店に寄りたいな、なんてハシゴ気分になって。

2軒目では燻製された何かをつまみながらぬる燗で日本酒をちびちびと飲んでいると、
日本酒もいいけれどなんかワインも飲みたくなってきたなあ、なんてワイン気分になって。

新鮮な自家製チーズが食べられるお店

というわけで、3軒目。

小町通りのある東口とは反対の西口から歩いて5分ほどのところにある『Latteria BeBe』、
こちらのお店はチーズ工房が併設されているので、自家製のフレッシュチーズが堪能出来ちゃう。

シチリアのワインブッラータとトマトに生ハムの盛り合わせ

まずはワイン気分に従いながらワインを頼んで、つまみはブッラータにトマトと生ハム、
巾着姿のブッラータチーズの中には生クリームが入っていて、うっとりする美味しさ。

雰囲気のある店内に心地よい接客、そんな空間で美味しい自家製のチーズをつまみながら、
ほろ酔い気分でワインを飲めるなんて、とてもいい感じ、次回は1軒目に訪れようと思う場所。

そんなハシゴ酒とは全然関係ないけれど、今年に入ってなぜかコクトーがマイブーム。

『大胯びらき』ジャン・コクトー
『大胯びらき』 ジャン・コクトー 澁澤龍彦 訳 福武文庫

ジャン・コクトーは詩人であり小説家であり劇作家でもある多才なフランスの芸術家、
小説『恐るべき子供たち』や戯曲『オルフェ』詩集『レオーヌ』など、挙げだしたらきりがない。

初めてこの作品を読んだのがいつだったかさっぱり思い出せない、90年代かなあ。

物語はジャック少年の成長物語なんだけれど、とにかく翻訳の詩的表現がこの上なく美しい、
コクトーの作品でありながらこの『大胯びらき』は、澁澤龍彦の翻訳デビュー作品でもある。

今回久しぶりに再読してふと思ったのが、このような青春小説と呼べる作品は、
青春が遥か遠い記憶になった頃に読むと、やけに染みるような気がするのは気のせいだろうか?

美しい比喩は小川を軽やかに流れる笹舟のよう、そんな作品。

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4件のフィードバック to “江ノ電に揺られて”

  1. Misa Says:

    こんにちは。
    季節の変わり目の夕焼けを見たあとに
    美味しいお料理とお酒をたしなむなんて
    オトナの至福度100%ですね。
    お酒が強いってうらやましい。

    コクトー…黒糖が頭の中をぐるぐる。
    読んだことはないのですが、くまさんのレビューを見るとどんなのだろうって
    興味わきます!

    笹の花言葉は「ささやかな愛」って
    先週観たドラマの中で言っていました。

    • 森のくま Says:

      こんばんは!
      冬の夕暮れは空気が澄んでいるせいか、なんか綺麗だね~、黄昏ちゃうよ。
      最近はからっきしお酒が弱くなりましたよ、お店の中ですっ転ぶほどです。
      ちょこっとでほろ酔いになるぐらいが、ちょうどよいかと思われます。

      コクトーで黒糖が出てくるなんて、さすが「もぐニスト」だね。
      コクトーは20代ぐらいの頃にハマってた記憶がかすかにあります。
      初めて読んだのが『恐るべき子供たち』だったかなあ、コクトーの詩もよいよ。

      なるほど花言葉は「ささやかな愛」かあ、美しい比喩にぴったりの花言葉だ。
      笹といえば、以前中華街で食べたパンダ味のソフトクリームが笹の味でした。

  2. フォレ Says:

    くまさんこんばん江ノ電坊や!
    もう少し暖かくなったらおじゃましようかなぁー
    ハシゴ酒が似合うのはくまさんと植木等くらいですね
    チーズは、とけろけるチーズを
    とろけさせないままで食べてます
    コクトーはうちにも恐るべき子供たちがありますよーん
    角川文庫のやつでねー装丁がなかなか良いんですのよ
    薄いのに重量感ある本だわ。
    …大股びらき?

    • 森のくま Says:

      「江ノ電坊や」って、なんかゆるキャラの名前みたいでよいね。
      江の島&鎌倉は春がよいと思うよ、シラス漁も来週解禁だし。

      年取ると同じ椅子に長いこと座ってるのが億劫になるんだよね、
      ハシゴ酒は不思議と酔いが回り、見事な千鳥ステップを踏めますよ。
      とろけるチーズをとろけさせないで食べるの?あほなの?

      角川文庫のってちょっとゴスっぽい表紙だったっけ?
      ほんと薄いのに重量感ある物語だよね、好きな作品です。
      大胯びらきはバレエ用語らしいよ、お相撲でいう股割りみたいな感じかな。


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